鋼の錬金術師FA 約束の日への公式ブログ
2010年6月4日分記事に掲載されているミニドラマの続き。
リン視点。捏造なので注意が必要です。

原作のミニドラマの脚本を知らないという方は、そちらを先にご覧になったほうが宜しいかもしれません。
作者の誤解釈、誤字・脱字等あるかもしれません。





感覚を研ぎ澄ませ気配を探る。
きっとランファンはどこかの路地裏にでも身を潜めていることだろう。
暫く探し回ったのち、やっと俺はランファンを見つけることが出来た。
小走りでランファンの元に駆け寄る。

「も……申し訳ございませんっ!!」

「別にいいよ。そんなに気にしなくて」

ランファンは何とかこの場を取り繕うと必死で
その必死さが語調からも聞いて取れた。

「いやしくも私はリン様の護衛です。……その私が取り乱して本来の護衛の職務を放棄するなど……本来あってはならないことです。どんな処罰でもお申し付けください」

「だからいいってば、そんなこと。気にしてないし」

「……」

事の起こりは十数分前だ。
いつものように冗談をいっていたときだった。
リンに抱いてる感情が恋愛感情ではないのかとウィンリィに言われたランファンは取り乱し、
一旦感情をを安定させる為に部屋を後にしたのであった。


「まださっきのこと気にしているのか?」

「……あんな失態をお見せしたのです、当然です」

そう言って俯いてしまったランファンと俺の立つ寂れた細い路地に暫しの間の沈黙が流れた。

「ショックだったか?」

「何がです?」

「俺がウィンリィちゃんにランファンに対して従者として以外の感情を持っていないって言ったコト」

俺は自分の気持ちを悟られないよう、
敢てぶっきらぼうな口調で話した。

「……」

「そうだったんだろう?」

「私の様なものが、あなた様のお傍に置かせて頂いていること自体光栄なことです。それ以外のことを望むことは……」

「そうじゃない」
  
「……え」

「俺はそういう意味でああ言ったんじゃないんだ」


やや強引に腕をつかみこちらに引き寄せると、
ランファンが背筋を強張らせたが構わず抱き寄せた。
黙り込んでしまったランファンに話しかける。

「……そういう意味で言ったんじゃないんだ。ランファン」


「俺はランファンのことを―――

「あっ……の……」


言葉に詰まったランファンに対し
俺は言葉を続けた。



―――家族としてすごく大切に思っている。……ただの部下としてしか考えていないという訳じゃない」


俺は、その時ランファンがどんな顔をしていたのか、その表情を伺い知る事は出来なかった。


「……ホテルに戻るぞ、ランファン」


俺は踵を返してランファンに背を向けホテルへと歩みだした。
そこでこの話題は終わりとなった。





俺はランファンの気持ちに気づかないほどの朴念仁じゃない、
ましてや自分の本心に気がつかないほどの愚か者でもない。


だが俺は、愛してるという事実さえ曖昧な言葉で言い繕い誤魔化すとこしか出来なかったのだ。
もしも、せめてもう少し俺が不器用だったなら素直に気持ちを伝えることも出来たのだろうか?



〈End……?〉
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