一応原作沿いのつもり。最終回後に砂漠を越えてシン組が国へ帰る時のお話。
イメージを壊す恐れがあるので注意。メイ視点。
捏造や理解不十分のところも多いですがそれでもいいよという心の広い方はどうぞ。
誤字・脱字等は愛嬌ということで……
ここはクセルクセス遺跡、自分たちは今このシンとアメトリスの中継地で数少ない休憩を取っている。
強烈な日差しが照りつける厳しい暑さの中で先に口を開いたのは私だ。
「全くもって迂闊ですね。リン・ヤオ!!」
「……何の話だ?」
今、この遺跡の中にいるのは幾つかのキャラバン隊、
そしてこの皇子とその従者に自分だけだ。
突拍子の無いとこを急に聞かれた目の前の皇子は私の睨めつけるような視線を、単純に疑問の目で見ている。
「私がここで貴方を殺せば賢者の石は私のものです。」
「そうだな」
特に表情の変化も見せないまま彼はこちらの話を聞いている。
一方、黒い装束に身を包んだ彼の従者はこちらに若干の鋭い目線を向けてきたが私はそれに頓着することなく言葉を続けた。
「そうすれば、皇帝に石を献上出来るのはこのチャン家になります。
私が貴方を殺すとは考えなかったのですか?」
「それはないな」
今度ははっきりとした淀みの無い返答。
その発言には確固たる自信が感じられた。
「どうしてそんなことを断言出来るんですか!!」
「後先短い皇帝に媚を売るよりも今後に見込みのある一族と協力関係を築くほうがお前の家にとっても有益だ。違うか?」
「……」
確かに彼の発言は的を射ている。しかし彼の発言の前に簡単に黙らされるのはこちらとしては面白くない。
「だからと言って砂漠を越えるときの行動を同じくする理由は何故です?
弱小の一族に構ってみてもそちらに利益は無いではありませんか。
随分とリスクの方が勝るように思えますが……」
「お前の見張りならランファンに頼んである。
それに――――有能な錬丹術の使い手はヤオ家としても有益だ。
簡単に処分してしまうのは惜しい」
「それはそうですが……」
最近まで抗争を続けていた、その負い目もあるからであろうか、
彼の言うことにはいちいち突っ掛かりたくなる。
「これ以上の言い合いは無駄だろう?今のうちに……休めるうちに休んでおけ」
「そんなことは分かっています」
何を言っても理路整然と言い返されてしまいそうだ。
――――やっぱり気にくわない。
自分でも子供じみてるとは分かっている。
しかし何故か反発してしまいたくなるのだ。
〈End……?〉